『働き方』稲盛和夫

『働き方』稲盛和夫

 

 

①「心を高める」ために働く ーなぜ働くのか

・働くこと=「人を作る」(人格を作る)

「よく生きる」ためには、「よく働くこと」が最も大切。

心を高め、人格を磨いてくれる「修行」であるといっても過言ではない。

働くことはたしかにつらいことも伴いますが、それ以上に、喜びや誇り、生きがいを与えれくれる、尊厳ある行為。

 

・順境ならよし、逆境ならなおよし。

自分の環境、境遇を前向きにとらえ、いかなるときでも、努力を重ね、懸命に働き続けることが大切。

苦難や挫折を知らず、順風満帆に進んでいたら人生は全く異なったものになったであろう。

 

 

 

②「仕事を好きになる」ように働く ーいかに仕事に取り組むか

・仕事に「恋をする」

好きな仕事ならばどんな苦労も厭いません。

そして、どんな苦労も厭わず、努力を続けることができれば、たいていのことは成功するはず。

つまり、自分の仕事を好きになるということ、この一事で人生は決まってしまうといっても過言ではない。

充実した人生を送るには、「好きな仕事をするか」「仕事を好きになるか」のどちらかしかない。

しかし、好きな仕事を自分の仕事にできるという人は、「千に一人」「万に一人」もいるものではない。

希望する会社に入社できても、希望する仕事に就ける人など、ほとんどいない。

大半のひとは、人生の門出を「好きでもない仕事」につくことから、スタートすることになる。

しかし、問題は、多くの人が、その「好きでもない仕事」に不承不承、従事し続けていることです。与えられた仕事に不平不満を持ち続け、愚痴や文句ばかりをいっている。それでは素晴らしい可能性を秘めた人生を、あたらムダにしているようなものです。

 

■好循環を生むスパイラル

①「与えられた仕事」を好きになる。

②苦労を厭わず仕事に打ち込めるようになる。

③力がつく。

④成果を生むことができる。

⑤周囲から評価される。

⑥評価されればさらに仕事が好きになる。

 

 

 

 

 

③「高い目標」を掲げてい働く ー誰にも負けない努力を重ねる

誰にも負けない努力は自然の摂理

自然界を観れば、どんな動物でも植物でも、一生懸命生きていないものはありません。

人間だけが、邪なことを考え、楽をすることを願うのです。

「誰にも負けない努力」とか、「一生懸命に生きる」というと特別なことのように感じてしまう。

成功するために、一生懸命に働かなければならないのではありません。

生きていくために、「誰にも負けない努力」では足らう、それば自然の摂理なのです。

 

 

 

 

 

④今日一日を「一生懸命」に働く ー継続は力なり

今日一日を「生きる単位」として、その一日一日を精一杯に生き、懸命に働くこと。

そのような地道な足取りこそが、人生の王道にふさわしい歩み方なのです。

 

三年先、五年先となると、誰にも予想はできません。

しかし、一年先なら、そう大きな狂いもなく読むことができるはずです。

そして、その一年だけの計画を、月ごとのさらには、一日ごとの目標にまで細分化して、それを必ず達成するように努めてきた。

 

・今日一日を精一杯努力しよう。

中身の濃い「今日」を毎日毎日続けていく。

 今日一日を精一杯努力しよう。今日一日を懸命に働けば明日が必ず見えてくる。

今月を精一杯頑張ろう。今月を精一杯頑張れば来月が見えてくる。

今年一年を充実させよう。今年を充実させれば来年が見えてくる。

そのように一瞬一瞬を充実させ、小さな一山ごとに越えていく。

その小さな達成観を連綿と積み重ね、果てしなく継続していく。

それこそが一見、迂遠に見えるものの、高く大きな目標にたどり着くために、

もっとも確実な道なのです。

 

 

・得意のときにはおごらず、失意のときにもくじけず、日々継続して懸命に働き続けることが何より大切。

苦難や幸運がずっと続くわけではない。人生山あり谷あり。

 試練の中でも懸命に努力を続ける日々、それは成功の種を大事に育てているとき。

 

 

・人生でも仕事でも、いつまでもクヨクヨと思い悩むことは、百害あって一利なし。

 十分に反省した後は、新しい目標に向かって、明るく希望を持って、行動を起こしていけばいいのです。

 

 

・厳しさこそ人を育てる。

自分が置かれた環境をネガティブにとらえて、卑屈になり、恨みつらみを募らせていくのか。それとも困難な要求を、自分を伸ばしてくれる機会として、ポジティブに受け取れるのかによって、行き着くところが大きく異なってしまうのは、仕事も人生も同様。

 

・どんなに険しい山でも、垂直に上り続けよう

自分に妥協を許し、安易な道を選べば、その瞬間は楽でも、夢や高い目標を実現することができずに、後で必ず後悔することになる。

人生や仕事におけるどんな困難な山も、安易に妥協せず、垂直に上り続けていくことが大切です。

強い意志を持って、一歩一歩地道な努力を日々継続する人は、いくら遠い道のりであろうとも、いつか必ず人生の頂点に立つことができるに違いありません。

 

 

 

 

 

⑥「創造的」に働く 日々、創意工夫を重ねる。

・あえて「人が通らない道」を歩く

「舗装されたいい道」とは、「誰もが考えつき、実際に通る常識的な道」のこと。

そのような舗装された道を、人の後から歩いて行っても意味がない。

先人の後塵ばかりを拝することになり、新しいことなど絶対にできない。

 

・「掃除一つ」でも人生は変わる

毎日毎日、少しでも「創造的な仕事をする」ことを心がけていく。

たとえ、その一日の進歩がわずかでも、十年たてば、とてつもない大きな変化が生じる。

「たかだか掃除」などと言って、創意工夫を怠り、漫然とただ続けているような人は、何の進歩も発展もなく、一年後も相変わらず同じような毎日をだらだらと続けているに違いありません。

毎日少しの創意と工夫を上乗せして、今日は昨日よりもわずかなりとも前へ進む。そのように、よくありたいといいう「思い」こそが、仕事や人生では何より大事であり、真に創造に近づく秘訣でもあるのです。

日々のたゆまぬ努力と創意工夫こそ、イノベーションへ至る「確かな地図」であり、成功に至る「確実な道」である

 

 

 

 

 

⑦「人生・仕事の結果」=「考え方×情熱×能力」(人生の方程式)

平凡な能力しか持っていなくても、努力をひたむきに続ければ、能力不足を補って、大きな成果を収めることができる。(人間生まれ持った能力に大差はない。)

中でも考え方が最も重要。

自分の苦労を厭わず、「他に善かれかし」と願い、一生懸命生きていくような「考え方」はプラスですが、世をすね、人をねたみ、まともな生き様を否定するような「考え方」はマイナスの「考え方」だと考えています。

掛け算なので、マイナスの考えを持っていれば、大きなマイナスの結果を生んでしまう。

マイナスの「考え方」を改めない限り、いくらお金を持っていようとも、本当に幸せな人生を送ることができない。

 

 

 

結び 稲盛和夫の思う 正しい「考え方」

つねに前向きで、建設的であること。

みんなと一緒に仕事をしようと考える協調性を持っていること。

明るい思いを抱いていること。

肯定的であること。

善意に満ちていること。

思いやりがあって、優しいこと。

まじめで、正直で、謙虚で、努力家であること。

利己的ではなく、強欲ではないこと。

「足るを知る」心を持っていること。

そして、感謝の心を持っていること。

 

■2020/8 自己採点

・能力=素質(0~100点) 50点

・熱意=努力(0~100点) 70点

・考え方(-100点~100点) 10点

 

 

 

 

 

■自分の教訓

・「いい仕事はいい人間によってなされる」

 

・若いうちに苦労しろ、苦労は買ってでもしろ。

 

・迷ったら苦労するほうを選べ。

 

・現場に行け。

仕事に行き詰まったり、やり方に迷ったりしたら、愛情をもって、現場に行き、

あらゆることを素直な目で見つめ直すこと。

そうすれば、必ず問題解決のヒントや、新たな挑戦への飛躍台となる、

確かな「ささやき」が聞こえてくるはず。

 

・「言うは易く行うは難し。」実践することは決して簡単ではない。